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状況のまとめ・評価

環境に対する損害の例

関連する国際法の論点

平時から適用される慣習国際法・環境条約

平時から適用される国際慣習法・環境条約は、武力紛争下でも適用される。ただし、武力紛争法によって保護の基準が下がる。

リオ宣言(1992年)(環境と開発に関するリオ宣言)

戦争行為は、本質的に持続可能な発展を破壊する性格を有する。したがって国は、武力紛争時における環境保護を規定する国際法を尊重し、必要に応じてその一層の発展のため協力する。 (『ベーシック条約集』の訳を引用)

ラムサール条約

ウクライナでは、50の湿地が登録されている

2022年11月ラムサール条約締約国会議(COP14)

決議 XIV.20 The Ramsar Convention’s response to environmental emergency in Ukraine relating to the damage of its Wetlands of International Importance (Ramsar Sites) stemming from the Russian Federation’s aggression「ロシア連邦の侵略に起因するウクライナの国際的に重要な湿地(ラムサール湿地)の被害に関するウクライナの環境緊急状態へのラムサール条約の対応」

まるで「踏み絵」 ウクライナ侵攻がラムサール条約会議に残した分断:朝日新聞デジタル

この決議は、1975年に発効したラムサール条約の歴史においてコンセンサスではなく投票によって採択された3例目であった(賛成50(日本含む)、反対7、棄権49)

武力紛争法・国際刑事法

ジュネーヴ諸条約第一追加議定書

(戦闘の方法及び手段)

35条3. 自然環境に対して広範、長期的かつ深刻な損害を与えることを目的とする又は与えることが予測される戦闘の方法及び手段を用いることは、禁止する。

(民用物の保護)

55条1. 戦闘においては、自然環境を広範、長期的かつ深刻な損害から保護するために注意を払う。その保護には、自然環境に対してそのような損害を与え、それにより住民の健康又は生存を害することを目的とする又は害することが予測される戦闘の方法及び手段の使用の禁止を含む。

  1. 復仇の手段として自然環境を攻撃することは、禁止する。

国際法委員会「武力紛争における環境保護」原則第1読草案 第3読草案

国際刑事裁判所(ICC)規程

ICC規程8条2項(b)(iv)

予期される具体的かつ直接的な軍事的利益全体との比較において、攻撃が、巻き添えによる文民の死亡若しくは傷害、民用物の損傷又は自然環境に対する広範、長期的かつ深刻な損害であって、明らかに過度となり得るものを引き起こすことを認識しながら故意に攻撃すること。

Intentionally launching an attack in the knowledge that such attack will cause incidental loss of life or injury to civilians or damage to civilian objects or widespread, long-term and severe damage to the natural environment which would be clearly excessive in relation to the concrete and direct overall military advantage anticipated

ウクライナ国内法

ウクライナは"エコサイド"を刑法(441条)で犯罪化している国です(越智

国際社会の反応

国連環境総会(UNEP)

気候変動枠組条約 COP

2022年11月6日~

Ukraine uses Cop27 to highlight environmental cost of Russia’s war

その他機関

ICJ仮保全措置

ウクライナの主張(口頭弁論、Jonathan Gimblett、パラ17~)

① 放射線による汚染

ロシアの軍事車両によって汚染土壌が空気中に拡散

Chernobyl: Why radiation levels spiked at nuclear plant

ロシアによる砲撃がもたらす脅威

IAEA Chief: Ukraine's Zaporizhzhia Nuclear Plant Safe After Russian Strike

② 燃料貯蔵庫への攻撃による毒性物質の放出

Russia hits Ukrainian oil and gas facilities in wave of attacks

Ukraine says Russian troops blow up gas pipeline in Kharkiv

+危険な化学物質を含んだ工業貯蔵庫への攻撃の可能性

ICJの判断

コメント

参考記事

7月1日

Shredded trees, dead dolphins and wildfires - how Russia's invasion is hurting nature

6月14日

How Ukraine wants to make Russia pay for war's environmental damage

6月7日 The Guardian

Dead dolphins: how nature became another casualty of the Ukraine war

5月22日 CNN

Ukraine’s natural environment is another casualty of war. The damage could be felt for decades | CNN

4月24日 Wall Street Journal

Russia's War in Ukraine Could Have Environmental Impact That Lasts Decades

川の中のアンモニア163倍急増...ウクライナ戦争、今後数十年にわたる後遺症の恐怖

4月20日 ABC News

Experts predict lasting environmental damage from Russia's invasion of Ukraine

4月19日 Washington Post

Analysis | War in Ukraine poses environmental risk now and in the future, advocates say

4月13日 NY Times

A 'Silent Victim': How Nature Becomes a Casualty of War

2月25日 Conflict and Environment Observatory

Ukraine invasion: rapid overview of environmental issues - CEOBS


Cover photo

Photo by Oleh Morhun on Unsplash (Kharkiv, Ukraine)