2022年10月7日 Situation of human rights in the Russian Federation HRC51会期
国連人権理、ロシアの状況監視へ=政府が反戦市民を弾圧(時事)
🗞️ Report of the Independent International Commission of Inquiry on Ukraine to the UN General Assembly (A/77/533), 18 October 2022
調査の第一段階において、委員会は2022年2月24日以降、ウクライナで戦争犯罪、人権侵害、国際人道法違反が行われていることを発見した。特定された違反のほとんどは、ロシアの武装勢力によるものである。ウクライナ軍も一部の場合に国際人道法違反を犯しており、戦争犯罪に該当する2件の事件もあった。
🗞️Report of the Independent International Commission of Inquiry on Ukraine to the Human Rights Council (A/HRC/52/62), 15 March 2023
本報告書にて収集された証拠の体系は、ロシア当局がウクライナの多くの地域およびロシア連邦で国際人権法と国際人道法に対する広範な違反を行っていることを示している。
これらの中には戦争犯罪に当たるものが多く、故意の殺人、市民への攻撃、不法な拘束、拷問、強制的な子供の移送や追放が含まれる。
調査委員会は、ロシア軍が民間人の被害と苦痛を無視した爆発物攻撃を人口密集地域で実施していることを結論づけた。国際人道法に違反する無差別かつ不均衡な攻撃や、予防措置を講じないことを文書化している。
さらに、調査委員会は、2022年10月10日から始まったロシア軍のエネルギー関連インフラへの攻撃や、ロシア当局による拷問が人道に対する罪に当たる可能性があると結論づけ、さらなる調査を勧告している。
調査委員会は、ウクライナ軍による無差別攻撃や、2件の戦争犯罪に当たる出来事を含むわずかな違反が記録されていることも文書化している。
最後に、調査委員会は、全ての違反や罪を調査し、責任を問い、国内レベルまたは国際レベルで責任を問うことを推奨している。刑事責任と被害者の真実、補償、再発防止の権利の両方を含む包括的な責任に取り組むことを呼びかけている。
🗞️ Report of the OSCE Moscow Mechanism’s mission of experts entitled ‘Report On Violations Of International Humanitarian And Human Rights Law, War Crimes And Crimes Against Humanity Committed In Ukraine Since 24 February 2022’, ODIHR.GAL/26/22/Rev.1, 13 April 2022
4月13日、OSCEの[モスクワ・メカニズム](https://www.osce.org/odihr/20066#:~:text=The Moscow Mechanism%2C adopted at,relating to the human dimension.)(モスクワ文書第7段落)に基づき設置された専門家委員会(Wolfgang Benedek・Veronika Bílková・Marco Sassòli各教授)が作成した予備的報告書が公表された。
委員会の任務は次の2点。
報告書は、ロシアによる「国際人道法違反の明確なパターン」があると認定し、ロシアが国際人道法を遵守していたならばこれほどの文民被害は出ていなかったはずだと指摘。他方、ウクライナ側にも、特に捕虜の待遇に関して違反が認められたとも述べている。
2 June 2022, the Delegations of 45 OSCE Participating States, after consultations with Ukraine, invoked the OSCE Moscow Mechanism under paragraph 8 of the Moscow Document
🗞️ Report of the OSCE Moscow Mechanism’s mission of experts entitled ‘Report on Violations of International Humanitarian and Human Rights Law, War Crimes and Crimes Against Humanity Committed in Ukraine (1 April – 25 June 2022), ODIHR.GAL/36/22/Corr.1, 14 July 2022
6月2日にOSCE加盟国45カ国が、4月12日報告書のフォローアップのために、モスクワ・メカニズム(モスクワ文書第8段落)を再度発動した。新たに3名(Veronika Bílková (Czech Republic), Ms Laura Guercio (Italy) and Ms Vasilka Sancin (Slovenia))の専門家を任命
🗞️ Report on Russia's Legal and Administrative Practice in Light of its OSCE Human Dimension Commitments, ODIHR.GAL/58/22/Rev.1, 22 September 2022
6月28日にOSCE加盟国38カ国が、ロシア連邦に関する以下の点につき、モスクワ文書第12段落を発動した。専門家としてAngelika Nußbergerが任命された。
🗞️ Report on Violations and Abuses of International Humanitarian and Human Rights Law, War Crimes and Crimes Against Humanity, related to the Forcible Transfer and/or Deportation of Ukrainian Children to the Russian Federation, ODIHR.GAL/37/23/Rev.1/Corr.1, 4 May 2023
2023年3月30日にOSCE加盟国45カ国が、ウクライナに対するロシアの侵略の人権侵害および人道的影響における子どもたちの連行/追放に関して、モスクワ・メカニズム(モスクワ文書第8段落)を再度発動した。
専門家として、Veronika Bílková (Czech Republic), Dr. Cecilie Hellestveit (Norway) and Dr. Elīna Šteinerte (Latvia)が任命された。
2023年5月4日づけの報告書では、多数の子どもたちがロシアにより連行が確認され、被保護者を占領地から追放/連行することを禁じるジュネーヴ第四条約(文民条約)の49条の重大な違反となるとともに、子どもたちの国籍の強制変更により同50条2項の違反となるとされた。さらに、子どもの権利においても、3条(子どもの最善の利益)・8条(身元の保全)・9条(親からの分離禁止)・10条(家族再会)・12条(意見表明権)・14条(思想・良心・宗教の自由)・17条(情報へのアクセス)・20条(代替的養護)・21条(養子縁組)・24条(健康・医療への権利)・28条(教育への権利)・29条(教育の目的)・31条(休息、余暇、遊び、文化的・芸術的 生活 への参加)・37条(b)(自由を奪われた子どもの適正な取扱い)の違反が構成されるとした。
欧州刑事警察機構(Europol)
Europol's solidarity with Ukraine | Europol
欧州司法機構(Eurojust)
2022年8月4日、アムネスティ・インターナショナルのプレスリリースが、ウクライナ軍が学校や病院など住宅地に拠点を設置し、また「すべての実行可能な予防措置(all feasible precautions)」を講じていないことにより、一般市民を危険にさらしていると指摘。ただし、このような国際人道法の違反によって、ロシアの無差別攻撃が正当化されるわけでは決してないと付言。
🗞️ Amnesty International, ‘Ukraine: Ukrainian fighting tactics endanger civilians’, 4 August 2022
このプレスリリースは様々な反応を呼び、ウクライナのゼレンスキー大統領は反発。ロシアの国連大使がロシアの軍事作戦を正当化しウクライナを非難するために本プレスリリースが持ち出される事態にもなった。アムネスティ・インターナショナルも事態を受けて声明を発して遺憾の意を表明。
IHL専門家のMichael Schmittは、平等適用の観点から侵略の被害国もIHL違反を問われうるとしながら、IHLが軍事的利益と人道的考慮の慎重なバランスの上に成り立っていることを強調した。そして、プレスリリースでは違反されたIHL規則やそれに適用される事実が説得的な根拠を用いて明示されなかったことから、アムネスティ・インターナショナルが「無責任に(irresponsibly)」行動したと批判した。
その後、アムネスティ・インターナショナルは外部の専門家パネルにより本プレスリリースを法的に分析することに同意。4月28日に最終報告書が公表された。その要旨では、「本プレスリリースにおける法的および事実の分析は十分に詳細で根拠があるわけではなかった。とくに本プレスリリースは、ウクライナが違反したと考えられるIHL規則の要素を明らかにし、関連する事実に照らして違反の各構成要素がどのように確立されたのかをより体系的に説明すべきであった」とされた。Michael Schmittは、報告書のうち以下に引用した66–67段落が「すべての実行可能な予防措置」であるかに関する法的分析として最重要な点であると評価する。
[…] Without information from the armed forces, it is impossible to categorically determine that a violation of the rules governing the conduct of hostilities has occurred unless there are other clear indications based on patterns of conduct or other circumstantial evidence.
The rules on passive precautions require similar engagement as outlined above, they are not absolute obligations, but instead require belligerents to take precautions to the maximum extent feasible. Feasibility is understood as referring to what is practicable or practically possible, taking into account all of the circumstances ruling at the time, including humanitarian and military considerations.