ダーダネルス海峡・ボスフォラス海峡 「世界史の窓」より
2月28日にトルコ外相が各国に対して、軍艦がボスフォラス海峡・ダーダネルス海峡を通過しないよう警告したとトルコ国営メディアが報じた(Reuters)。
3月1日、ロシアが2月27日から28日にかけて軍艦4隻の海峡通過を求めたものの、黒海の基地所属でない3隻についてトルコが通過を拒否したとトルコ外相が現地テレビに対して発言した(Nikkei Asia)。ロシアはこれに応じて通過要請を取り下げた(bianet)。
3月26日、トルコは黒海から流された機雷を発見したとしてボスフォラス海峡を一時的に閉鎖した(Al Jazeera)。日本船主責任相互保険組合が注意を呼び掛けている(3月29日)。
米国国務長官(モントルー条約の継続実施に謝意・ウクライナの主権・領土保全の防衛への「強い支援」に感謝)(2月28日)
ロシアは、トルコによるモントルー条約の実施方法について特に抗議せず、むしろ「評価」していると報じられている(Daily Sabah(3月3日))。
3月16日の露土外相会談では、双方は次のように述べたとされる(Tass)。
トルコ外相
Tass - "We would like to point out that our decision with regard to the Montreux Convention remains the same. We will continue to comply with its provisions," he said. "We also would like to note that we were glad to learn of Russia’s decision that two ships would not move through the straits," Cavusoglu added.
ロシア外相
Tass - "Today, the key issue for us is the situation in Ukraine and the need to resolve it as soon as possible. It is no secret that our positions on the issue are different but we do appreciate and respect Turkey’s stance and seek to deal with challenges created by the current crisis in an objective manner," Lavrov noted.
"We certainly take note of and appreciate Ankara’s responsible approach to its obligations under the Montreux Convention," he added.
3月10日・11日に理事会の緊急会合を開催し、ロシアの行動を非難する決議を採択。
エーゲ海と黒海とを繋ぐ唯一の海路であるダーダネルス海峡とボスフォラス海峡は、国際法上の「国際海峡(international strait)」にあたる。それゆえ、通常であれば、軍艦についても航行の自由を認める通過通航権(right of transit passage)が認められる(38条)。
ただし、国連海洋法条約は、「特にある海峡について定める国際条約であって長い間存在し現に効力を有しているものがその海峡の通航を全面的又は部分的に規制している法制度」には影響を及ぼさない(35条(c))。今回は、こうした国際条約があり、その適用が問題となる。
条約は、戦時には、トルコが交戦国でない場合、紛争当事国の軍艦は一定の例外(被侵略国の支援(19条2項)・基地への帰還(同4項))を除き海峡の通過が禁止されると規定する(19条2項)。
また、戦時でトルコが交戦国である場合で自国に対する戦争の切迫した危険が及ぶ恐れがあると考える時は、トルコが軍艦の通航に対する措置を決定する裁量を有する(20条、21条)。
いずれにせよ国際違法行為に対する対抗措置として海峡閉鎖が認められるとの見解も表明されている。
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