2月26日、ロシア宇宙機関(ROSCOSMOS)の仏領ギアナの宇宙センターから技術者を引き揚げさせ、欧州との協力関係を停止すると発表した。これにより仏のアリアンスペース社はソユーズロケット(中型打上げに利用)を利用できなくなる。
3月17日、これを受けて欧州宇宙機関(ESA)がソユーズロケットを用いたすべての活動を停止すると発表した。
【2月26日 Reuters】ロシア国内の「非友好国」企業の資産を凍結するとロシア側が発表した。
【2月26日Tass通信】ロシア安全理事会副議長Dmitry Medvedevの「推測」として、ロシアによる国有化が行なわれる可能性がある。
【3月3日 Tass通信】大統領府報道官が報道陣に述べたこととして、大統領府にはそうした考えはない旨報じた。
【3月8日 Reuters】ロシア与党「統一ロシア」幹部が、外国企業によるロシアでの操業中止はロシア市民に対する「戦争」であるとして、撤退を表明した企業の「生産施設を国有化することを党として提案」した。
【3月10日 統一ロシア】ロシア国内での事業停止を表明した「非友好国」企業(外資割合が25%以上のもの)を「外部から管理」してそれらの破産を防ぐための法律案が政府の委員会で承認された。
Also approved was a bill that will be the first step towards the nationalization of the property of foreign companies leaving the Russian market - this proposal was previously made by United Russia. The bill allows the introduction of external administration by court in organizations, more than 25% of which are owned by foreign persons from unfriendly states, upon termination of activities. This will prevent bankruptcy and save jobs.(ロシア語からの機械翻訳)
【3月11日 ホワイトハウスPsaki報道官ツイート】国有化を実施すれば企業から「法的請求」が提起される。
外国人財産の収用は、慣習国際法上一定の要件(特に補償の支払い)に従う必要がある。ロシアと当該企業の本国との間に投資保護条約が結ばれている場合、資産凍結や補償なき収用はその義務に違反する可能性があり、投資条約仲裁が多数提起される可能性がある。
ロシアの結んでいる投資条約は↓
Russian Federation | International Investment Agreements Navigator | UNCTAD Investment Policy Hub
現状(3月10日)では「外部からの管理」の意味するところが不明だが、仮にロシア政府が当該企業の経営陣に成り代わって事業を継続する(例えばマクドやスタバでハンバーガーやコーヒーの製造販売を続ける)ということだとすると、実質的に企業を収用したことと同じ結果を生じさせ得るため、間接収用に該当する可能性がある。もっとも、仮に企業や株主が投資条約仲裁を申し立てるとして、ロシアの措置によりいかなる経済的損害を負ったと主張し得るのかは、あまり明らかではない。