経緯

2022年10月20日、宇露双方が、ウクライナ南部ヘルソン州（ロシア軍支配地域）のノヴァ・カホウカ・ダムに敵軍が爆発物を仕掛けたと非難（Reuters）。

2023年6月6日（現地時間、午前2時-3時ごろ）、ノヴァ・カホウカ・ダムが決壊。宇露双方が、相手方を非難（BBC, 訳；The Guardian；Reuters；NHK；TASS；Aljazeera）

次のような影響が懸念されている

• 住民救助

  • ロシア占領地では、救助が行われていないとの情報も
  • 動物の被害も報道されている（朝日新聞）
    • ノヴァ・カホウカ市の動物園は完全に水没（宇国防相）
  • 被害地域では、飲用水確保が課題になっている模様

• ザポリージャ原子力発電所への冷却水の供給（関連論点：IAEA、原子力施設への攻撃をめぐり対応）

  • IAEA事務局長声明（→原発の安全性に対する当面のリスクはない）

• クリミアへの北クリミア運河を経由した水供給への影響

  • 露ペスコフ報道官は6日、決壊したダムはロシアが併合したクリミア半島に水を供給しており、同報道官はダムの破壊はクリミア半島から水を奪うことが目的だと主張（Reuters ロイター）

    ※ ただし、2022年2月24日のロシア侵攻以前は、8年間ほどウクライナが運河をせき止めており、その間に建設されたクリミア橋から水供給を受けてきた。

• 周辺地域への生活用水供給への影響

• 農業用水供給への影響

  • 食料安全保障への影響も懸念される（FAO、６月７日）

• 環境汚染（関連論点：武力紛争の環境への影響）

  • 洪水による生態系への影響
    • 洪水により影響を受けているドニプロ川デルタはラムサール条約登録湿地
  • 大量の機械油の流出

• 河川近郊に埋められていた地雷等の流出

• 水力発電ができなくなることによるエネルギーへの影響

関連する動き

安全保障